つみきの少女 | 柏市の理数系専門学習塾

つみきの少女 | 柏市の理数系専門学習塾「空間認識力」、いわゆる算数・数学でいうところの「図形の力」
というのは、ある程度年齢がいってしまうと伸ばすことは難しい。
この力を持てなかった子供には、数学にでてくる図形の問題を
解くことは至難になる。図形の見えない部分が想定できないのだ。
「補助線」なんて、考えもつかない。

経験上、フランチャイズで全国展開する○○式からの移転組は、驚くほど
図形問題や応用問題ができない。
計算力だけは抜群なのだが、ちょっとでも経験外の問題に出くわすと
「目」が泳いで思考停止しているのがよくわかる。今まで、かなりの数の
移転組を受け入れて来たが、ありとあらゆる手段を講じたつもりだが、
図形の能力を向上させることはついぞ困難だった。

これは、おそらく、脳が柔軟性を持っている幼児の時期に、反射運動
にも似た「計算」を「数の概念」もないままに強制的に反復させまくり、脳を
「固化」してしまうからだと思われる。言葉が悪いが、脳を「電卓化」しているような
作業に、私には思われるのだ。ただ、計算が速くなる、というのは小学校の
算数では成績向上の即効性があり、これがこのチェーンが全国規模で拡大し
続ける原因だと思うのだが・・・・ただ、間違いなく言えることは、この時期に図形
の能力を獲得できないことは取り返しのつかない「一生の不作」になる。

さて、この子も実は○○式をやっていた。「空間認識力」をチェックさせてもらった
が、やはり惨憺たる結果だった。今までの経緯から、引き受けるかどうか
正直非常に迷った。確信を持って「任せてください」という自信がなかったのだ。
ただ、まだ、小1。脳の可塑性は十分にあるはずだ。

さて、それから、年齢を考慮し、幼児教育の専門家の意見を聞きながら
試行錯誤で授業を進めていった。で、そのひとつ、「知恵の積木」。
「つみき」といっても単なる立方体や直方体の集合ではなく、パーツひとつ
ひとつがてんでばらばらな形をしている。目標形を作るどころか、元箱に
しまうことさえ難しい「立体パズル」とでも言える代物だ。

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この難物積み木を、彼女は最近、「むじゅかしいなぁ。」といいながら、
らくらくとくみ上げて行くのだ!そして、完成すると本当にうれしそうな
顔を見せながら「せんせい、できたぁ!」と報告に来る。
私はそのあふれんばかりの笑みを見ると、わがことのようにうれしくなってし
まって、「よかった良かった。」とうるうるしてしまうのだ。
彼女の頭の中に複雑な神経細胞ネットワークがどんどん組み上げ
られて行くのが透けて見えるような気さえする。まるで神経細胞それ自体が
「知恵の積木」ででもあるかのように。

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生意気な中学生が「俺にやらせろ!」「私こそ!」というので
やらせたら、誰もできなかったレベルのものなのに。

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たぶん、大事なことは二つ。
ひとつには、人間には発達段階というものがあり、その時期
になすべきものがある、ということ。

そして、もうひとつは、先生は、その子の力を見極め、乗り越えられる
ぎりぎりのハードルを用意してやり、そのハードルを乗り越える喜びを
教えてあげることだ。この「ハードルを乗り越える喜び」こそが、その
子供の心に「達成感」をもたらし、人生をわたる上での「意欲」という
エンジンを積んでやることになるのだから。

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