祝!はやぶさ2帰還!その2

では、なんで「はやぶさ」は「太陽系の起源」やら「生命原材料の解明」など

を調べるために、わざわざあんな遠くの小惑星まで行ってサンプルを取って

来なければならなかったのだろう。

さて、ここからが本格的な授業です。

 

それは、太陽系の創成期の事は、地球にいるだけでは絶対にわからない

からなのだ。地球だって、46億歳である。最古の物でも探せば、なんとなく

当時の状況が分かるのではないか?きっとそう思われるに違いない。

しかし、現在の地球には、当時の「思い出の品」なんてたぶんもう無いのだ。

 

太陽系初期、地球や他の惑星ができ始めていた時、太陽系には、

「隕石の元」となる小惑星やらもっと小さなチリなどが大量に存在していた。

そしてそれは強い重量がある始原の「惑星」に雨あられと降り注いだのだ。

その衝突のエネルギーは熱エネルギーに変換され惑星表面はどろどろに

溶けた「マグマオーシャン」になった。これじゃあ、太陽系初期の状況なんて

残っているはずがないと思わない?

また、大きな惑星の中心部は「放射性同位元素」が集まって「崩壊」をはじめ

大量の熱を発生させはじめる。そう、惑星内部は(地球を含め)「原子炉」の

ようなものなのだ。そうそう、穴を深く掘れば「温泉」がでるでしょ?あの大元

のエネルギーがこれ。かくして惑星内部はドロドロにとけ対流を開始する。これが

「マントル対流」だ。その結果大規模地殻変動が起こり、地表と内部が入れ替わる。
太陽系初期は、各惑星中心ともこの「放射性同位元素」が大量にあっただろうから、

このマントル対流による撹拌(かくはん 「かきまぜる」ってこと)のエネルギー
は相当だったと思うよ。小さな惑星は放射性同位体の量も少なく、エネルギーを

使い果たして早い時期マントル対流は止まって「冷え固まって」しまったようだけどね。

地球は「温泉」があるように、まだまだ内部は生きている。

また、外部からは太陽からの紫外線や宇宙から宇宙線が降り注ぎ、物質を変成し

続ける。窓際にかけてあった服が変色してしまった経験はあるでしょ?あれは紫外線で
物質が変色したんだね。

つまり、太陽系初期は、惑星系は外部はオーブンで焼かれ内部は電子レンジで加熱

させ続ける「料理」みたいな状態だったわけ。これで「太陽系初期」の物質がそのまま

残っているわけがない。

地球はその上、大量の生物がいて、どんどん環境を変化させている。福島の放射線

汚染物質による立ち入り禁止地区の住居を見ればわかるが、まず、植物や野生動物

が人家を破壊しはじめているよね。何も手を入れなければあっと言う間にジャングルに

なってしまうかもしれない。

かように「地球」と言うのは、太陽系初期の物質を探すのには適さない場所なのだ。

 

その点、「小さな」小惑星であれば、重力は小さいから、他の小惑星との衝突の可能性

は少ないし、もちろん、小さな内部で「マントル対流」なんてない。唯一心配されるのは太陽光

や宇宙線の照射による変質だが、「小惑星内部」なら、その心配も少ない。

つまり、「小惑星内部」こそ、太陽系初期の状況が残ったままになっている「太陽系唯一

の場」と言えるのだ。まさに、「太陽系初期物質」の保存用「冷凍庫」と言えるだろう。

はやぶさ1号、2号があれほど、小惑星内部サンプルの採取にこだわったのは、こういった

理由があるのだ。これが解析出来たら・・・・・太陽系の初期、どんな物質がどんな割合で

存在したかがまるわかり。太陽系の起源、進化の探求が大きく前進することになるだろう。

はやぶさって、すげーよ。(下の写真は24年前に私が撮った「百武彗星」の写真。今まで見た中

で最高の彗星だった。この写真は当時「日経サイエンス」も掲載させてもらったよ。)

百武彗星

                                               つづく

(次回は、「生物原材料の解明」についてです。今しばらくお付き合いくださいまし。)